治療の精度と快適性を高める!イミディエートデンティンシーリング(IDS)の有効性とは?
セラミックやコンポジットレジンによる審美修復治療において、**「できるだけ歯を削らず、神経を守り、長く良い状態を保ちたい」**というのは、患者様にとっても歯科医師にとっても共通の願いです。
そのカギを握るのが、**イミディエートデンティンシーリング(Immediate Dentin Sealing:IDS)**という術式です。
本記事では、IDSとは何か、どんな効果があり、どのような治療で活かされているのかを、専門的かつ分かりやすくご紹介します。
■ イミディエートデンティンシーリング(IDS)とは?
IDSとは、セラミックインレーやアンレー、クラウンなどの間接法の治療において、形成(歯を削る)直後に象牙質を接着処理してシーリングする術式のことです。
通常、形成後は型取りを行い、技工物が完成してから接着処理を行いますが、IDSでは“すぐに”象牙質を保護・封鎖することで、さまざまな利点が得られます。


■ IDSの主なメリット
① しみる・痛みが出にくくなる
歯を削ると象牙質が露出し、外からの刺激に敏感になります。IDSを行うことで象牙質の表面を封鎖し、神経への刺激を軽減。
その結果、術後の知覚過敏や不快感が起こりにくくなります。
② 接着力が向上する
象牙質は湿潤状態であるため、通常の接着操作ではコンディションが安定せず、接着力が不安定になることがあります。
しかしIDSでは、形成直後の清潔で安定した象牙質にしっかりと接着処理を行うため、
セラミックとの接着強度が高く、脱離や劣化のリスクを抑えられます。
③ 治療の予後が安定しやすい
接着強度が高まることにより、補綴物の長期的な安定性が向上します。
また、象牙質の表面が保護されていることで、仮封期間中の細菌侵入リスクも減少。
そのため、治療後のトラブルを防ぎやすくなります。
④ 患者様の快適性が高まる
術後に「しみる」「噛んで痛い」「しばらく違和感がある」といったトラブルが少なくなるため、
患者様の満足度・快適性が向上し、治療に対する信頼にもつながります。


■ IDSが活用される治療
IDSは、以下のような**間接修復治療(セラミックなど)**で特に有効です。
- セラミックインレー・アンレー
- セラミッククラウン
- ラミネートベニア
- ダイレクトボンディングの複数回アプローチ
- 神経を極力残すべき症例(歯髄保存目的)
■ IDSの実際の流れ(簡略化)
- 虫歯除去・形成
- 象牙質表面の清掃・乾燥
- ボンディング材で封鎖(接着処理)
- その後、型取り → 補綴物完成 → 装着
※このステップ「2〜3」が通常治療との大きな違いであり、ここにIDSの価値があります。
■ 注意点と限界
IDSは非常に有効なテクニックですが、どんな症例にも適応できるわけではありません。
・すでに神経が過敏な状態(自発痛がある等)
・重度の歯髄炎
・形成量が大きすぎて封鎖が困難な場合
このようなケースでは、他の保存療法や根管治療の検討が優先されることがあります。
■ まとめ:IDSは、歯を守るための“ひと手間”の価値がある技術
・イミディエートデンティンシーリングは、形成直後の象牙質を即座に封鎖することで、
・術後のしみや痛みを軽減し、接着強度を高める治療法
当院では、患者様の歯の状態や治療方針に応じて、IDSを積極的に活用しています。
「できるだけ神経を残したい」「長く良い状態でセラミックを使いたい」という方は、ぜひご相談ください。
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